4.虫歯のでき方と実際の治療 お母さんやお父さんが一生懸命歯磨きしても、虫歯ができることはあります。私の息子にも虫歯はありました。また心臓や他の臓器に障害があり、その治療に全力を尽くしているうちに虫歯ができてしまったということは、かなりあることと思います。
虫歯や歯周病が他の病気と一番違う点は、自然に治ることが無いということかも知れません。ですから、できてしまった虫歯はできるだけ早く治療しなければなりません。
次に、歯の構造と虫歯のでき方、そして実際の治療についてお話してまいります。
1.歯の構造
眼には見えない根の部分の表面にはセメント質と呼ばれる硬組織があります。
大人の歯と子どもの歯は図のように基本的な構造は同じです。ただ大人の歯に比べて、エナメル質は薄く、歯髄組織の大きさは大きいため、虫歯になり易くまた歯髄にも感染しやすい構造となっています。

GO TOP

GO TOP
虫歯の原因が口の中の細菌であることは、いろいろな研究から間違いのないものです。
GO TOP
子供の状態をみて、すぐ治療する場合と、治療の練習をする場合とがあります。ちいさな子の場合は一回目はハブラシ指導と器具の説明、治療の練習だけすることも多くあります。
虫歯の程度がひどくて、治療が緊急を要する場合や、何度か練習してもどうしてもできない子の場合には、動けないように抑制具を付けて治療することがあります。ただ、この様な強制治療は子どもの歯医者嫌いを助長しますし、体力のある年齢の高い子には使えません。歯科医も保護者の方も面倒なのですが、根気よく練習するにこしたことはないと思います。
しかし、一般の歯科医院では日々の診療に追われており、ただでさえ赤字の障害者歯科治療にそれだけの時間と労力を割けるかどうかは難しい問題だと正直思います。
治療する必要は、充分わかっていても出来ないこともあるのだと心にとめておいてください。
また、一生懸命に障害者の歯科治療をなさっている先生も沢山いらしゃる事と思います。一度、近くの歯医者さんへ行ってみてください。自分のところで診られない場合には、何処か紹介してくださると思います。
ダウン症児に限らないのですが、歯科医としてお父さんお母さんにお願いがあります。
それは、「今日は何もしないから」とか「お薬を塗るだけだから」という約束を勝手にしない(実際の治療と違っていると次からはどんな約束も効きません。子どもに嘘は言わないで下さい)ことと、「歯医者さんが終わったらお菓子をあげる」とか「好きなものを買ってあげる」というように物でつらないようにして欲しいということです。全く理解ができなかったり、他の動機付けがなければ歯医者へも来ないのであればしようがありませんが、ある程度以上の理解力があれば、虫歯は治療しなければいけないことを納得させたいと思います。
少しの我慢が難しいことも判りますが、最初から諦めることはありません。
今では私たちが子どもの頃とは違い、ほとんど痛く無く治療することができます。歯科治療のできる子も沢山いるのです。
それともう一つ、治療の前に必ず排便排尿を済ませておいてください。口のなかに治療器具が入っていたり、強制治療の器具に包まれていたりしますとすぐにトイレに行けないこともあります(知らない人の前での失敗は子どもの心を傷付けますし、歯医者嫌いになることもあります)
GO TOP

虫歯が歯の深い所まであるような場合に、虫歯の部分を除去していくと、歯髄が露出したり、歯髄の上のほうが細菌に感染していたりすることがあります。歯髄の露出が小さい場合には、消毒して薬を付けたりします( 直接覆髄, 覆罩と言います)。そして痛みが出ないようなら、歯髄の処置はしません。露出が大きかったり、歯髄の上部が細菌感染している場合には、根の歯髄組織を残して歯冠部の歯髄を取ってしまうこともあります(生活歯髄切断法:生切)。根の歯髄組織まで感染が疑われる時には、歯髄組織を全部取り去り 、また細菌が入らないように根の部分には根管充填材を詰めておきます。神経が死んでしまって、化膿している場合にも根の部分をきれいにして根管充填材を詰めます。
このような歯髄の処置をする時や、削って詰める場合には、ラバーダムと言って薄いゴムのシートを歯にかけて、治療する歯だけを出しておくようにします。こうしますと、唾液による感染を防げますし、歯の削りかすや冷却用の水を飲まずにすみます。また、舌や頬に誤って触れる恐れもありませんし、小さな歯科の道具を誤って飲んでしまうことも無いので、小さな子や障害のある子どもにはぜひ必要なものです。
一生懸命歯磨きしていて、虫歯を見つけたときは本当にガッカリしてしまいます。けれども諦めないでください、ちゃんと治療すれば、それ以上虫歯を増やさずに済みます。
噛むことは消化の第一歩ですし、顎をよく使わなければ顎の発達は望めません。顎の発達が悪いと永久歯の歯並びも悪くなってしまいます。噛むことは脳を刺激するとも言われています、虫歯や歯周病の予防ガンバッテ下さい。そして、もしも虫歯を見つけたら、できるだけ早く歯医者さんへ行って下さい。
GO TOP